NPO法人 全国言友会連絡協議会

Japan Stuttering Genyukai Association

ホーム ≫ 社会的支援

社会的支援

南理事長写真(縮小後)

理事長 南 孝輔(みなみ・たかゆき)

1953年2月、北海道生まれ。北海道教育大学卒業。自分自身も吃音の当事者であり、言語通級指導教室で長年にわたって臨床に取り組んでいる。北海道言友会では、吃音に対する社会的認知度向上を図るための「吃音サイエンスカフェ」や、北海道全域の自助活動を推進する「移動例会」などを企画。副理事長を経て、2013年11月より現職。趣味は読書とカレーづくり。

理事長から皆様へ

社会的支援は、“自分も社会的支援の資源に成りうる”というところから始まります。

社会的支援とは、「自分だけではできないことを、誰かと一緒にする」ことに他なりません。吃音がある人にとっては、主に行政の窓口職員、ハローワークの職員、医師、言語聴覚士、学校の先生などが、その「誰か」になるでしょう。しかし、例えば言友会で吃音があるお子さんの相談相手になる、就職面接で困っている青年に対してアドバイスをするなどの行動を通じて、私たち自身も、社会的支援の「対象」ではなく「資源」になることができます。
社会的支援のあり方には、様々な可能性があります。しかし、まずはその人自身から「こうして欲しい」という声を上げることこそが大切なのではないでしょうか。


つまり、社会的支援とは「当事者」、すなわち「私」(あなた)から始まるのです。

吃音がある人の中には、「私は障がい者ではないのだから、社会的支援なんて関係ない」と言う方がいます。その言葉の中には、他の障害のある方々への差別が含まれているのではないでしょうか。また、症状の程度によっても温度差があるかも知れません。あるいは、自分自身は就職の機会や収入、退職金、老後の生活資金などで困っていないので、そのような発言になるのでしょうか。 仲間の声に、真摯に耳を傾けてください。「面接で吃ってしまい、なかなか内定を得ることができない」、「誰か、私の職場に一緒に行って、吃音のことを説明して欲しい」、「転職を繰り返した私の退職金は、普通に勤め上げた場合の数分の一しかない」というような叫びを、私たちはどのように受け止めるべきでしょうか。こういう現実を行政に伝え、然るべき支援を求めるパワーとなれるのは、私たち当事者団体だけです。

私たちは、必ずしも吃音を個性と捉える立場をとりません。何故ならば、吃音を個性と捉えてしまうと、「吃ったままでいい」、「吃音があっても頑張れ」というような言葉が安易に使われてしまうことがあるからです。吃音を個性とすると、本人の「個人的な問題」として完結してしまい、そこから社会的支援という概念は生まれてきません。そうではなくて、吃音のある私たち自身が社会を動かそうとする方向に向かって行動することが大切なのではないでしょうか。私たちは、自分たちの発言と行動を見つめ直さねばならない時期に来ているのです。

社会的支援とは?

2011年、千葉県で開催された吃音ワークショップ(全国大会)において、吃音がある人に対する社会的支援の必要性が議論されました。

これまで、吃音とは「個人の問題」であり、その解決はもっぱら本人の努力や心の持ちように託されてきたことは否定できません。しかし、近年の様々な研究を通して、吃音が「ことばの障害」であることが半ば常識となってきた今、
吃音は「個人の問題」ではなく、「社会で取り組むべき課題」になってきたと私たちは考えています。

そのため、全言連は2012年4月に
「吃音がある人への社会的支援の在り方検討委員会」(社会的支援検討委員会)を設置し、社会的支援について議論を重ねました。現在は、これを「社会的支援推進実行委員会」に改組して様々な事業に取り組んでいます。

取り組み

<吃音啓発パンフレット制作>

2012年の吃音ワークショップ(全国大会)において、「吃音啓発パンフレット」が公開されました。これは、従来のような「言友会のチラシ」ではなく、吃音がある人自身が、周囲に対して自分自身が持つハンディキャップについて理解を求めるためのツールです。北海道言友会が中心となって制作し、吃音についての基礎的な知識や、吃音がある人が望むことについて、平易な言葉で説明しています。各地言友会は、この「吃音啓発パンフレット」を当事者自身に配布するための窓口として機能しています。

<「国際吃音啓発の日」一斉行動>

10月22日の「国際吃音啓発の日」(ISAD=International Stuttering Awareness Day)は、1998年、ISA(国際吃音者連盟)とIFA(国際流暢性学会)によって制定されました。諸外国では、吃音の社会的認知度を向上させるための様々な取り組みが実践されているにもかかわらず、わが国ではこれまで目立った動きはありませんでした。そのため、今後はわが国最大の当事者団体である全言連が音頭を取り、9〜10月を「一斉行動月間」として、各地言友会が一斉に行動を起こすことによって、マスメディアや世間一般に対して注目を喚起することで、社会的認知度の向上を推進することを目指します。

<啓発動画配信>

動画配信サイト「You Tube」にて、吃音についての啓発動画を配信しています。これまで、マクドナルドが卓上のメニュー表を撤去したことに対する問題提起や、吃音がある新社会人へのメッセージ、ブロック大会での社会的支援に関する講演の様子などを公開してきました。詳しくはこちらをご覧ください。

<障がい認定・就労支援>

吃音は、国際的な診断基準において「ことばの障害」のひとつに位置づけられながらも、わが国では依然として障がい認定の対象とされているかどうかは明らかではありません。障がい認定の是非については当事者の間においても様々な意見がありますが、私たちはこのテーマをタブー視せず、調査や意見の集約に向けた歩みを始めました。